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このブログは,大学・高校受験,資格試験の受験,勉強法,使用参考書,予備校,塾での指導などについて綴ったものである。また,さまざまな箇所からの役に立つと思われる情報もあつめている。

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2024/05/06(Mon)02:53:18
<第2章 入試現代文のためにはどう勉強したらよいのか?>
 
ここまでは、「入試現代文という教科が受験生にどういう力を問うているのか」について述べてきた。
それでは次に「現代文の成績向上のためにどういう勉強をすればいいのか」について考えていく。
 
[(i).公式なき科目]
いきなり身も蓋もないことを言ってしまうが、
「入試現代文という教科には、普遍的に通用する公式などはない」というのが実情だろう。
おそらく、入試現代文に慣れた人ほどこのことが身に染みて分かっているのではないだろうか。
現代文という教科が否応なくはらまざるをえないこうした曖昧さが、
受験生の入試現代文に対する毛嫌いや、勉強しても無駄な教科だという思い込みや、
「センス崇拝」などの数々の神話を生み出してきたように考えられる。
 
数学や理科は公式というものが存在し、
(あてはめるまでの過程が大変なのだが)それにあてはめれば答えは(ほぼ)一つに決まる。
地歴は、だいたいの大学の問題なら、用語と流れを覚えてそれを書けばいいだけだ。
ところが、現代文はそういうふうに明確な公式はないし、暗記でも解けない。
こうした現代文の捉えどころのなさが、受験生を不安に陥れる。
「公式もないし、暗記でも解けない現代文に対し、いったいどう対処すればいいのか?」と。
 
 
[(ii).現代文の勉強における危険]
そして、こうした現代文への不安を見透かしたかのように、受験業界はこうした受験生につけこむのである。
例えば、「現代文は誰にでも分かる!」であるとか
「現代文にも公式がある!」というようにセンセーショナルにアピールすることで
現代文をあたかも「わかりやすいもの」であるかのように信じ込ませる風潮である。
設問テクニックをあてはめるだけで解けるような安易な入試問題も一つや二つはあるかもしれない。
(そうした参考書では、講師が「編み出した」テクニックに適合する問題ばかり選ばれているのだからあてはまって当然である)
だが参考書で設問テクニックばかり身につけたつもりになっていても、
初めて目にする問題文の内容を的確に理解するという根幹をおろそかにしたのでは、現代文の成績は安定しない。
 
こうした風潮というものは、入試現代文の現実から目をそらし、
自分が信じ込みたい「幻想」を現代文に投影するだけにすぎず、
なんら入試現代文に対応する力をつけることにつながってはいないのである。
もちろん現在の現代文講師すべてがすべてこういう人ばかりではないことは言うまでもなく、
現代文の現実を十分理解して良心的に指導してくれる頼りになる講師もいる。
(大抵、そういう現代文の難しさをわきまえた講師は必然的に厳しくなるので毛嫌いされがちだが。)
だが、さきほど述べたような、受験生の不安を見抜かして、甘い言葉でそこに付け込もうとする現代文講師もいるのが現実なのである。
受験生は、こうした現状があることをよく踏まえたうえで、甘い言葉で人をつるような講師・参考書は避けていくよう注意せねばならない。
こういう甘い言葉につられると、最終的にひどい目に遭うだろう。
たとえそういう結果になったとしても、最終的にはそういう勉強法を選んでしまった自分の責任なのである。
 
 
[(iii).入試現代文のための勉強とは?]
さきほど私は「入試現代文という教科には普遍的に通用する公式などはない」と述べた。
「では現代文はどうやって勉強すればいいんだ!」と言われるだろう。
入試現代文の勉強の仕方については、先ほども出たように
 
・読書
・語彙・漢字
・基礎的な方法論の習得
・過去問・問題集で実戦経験を蓄積
 
これらをコンスタントに積み上げていくことである。
 
.まず読書。これはまとまった量の活字を読んでもついていけるだけの頭の持久力をつけることや、
現代社会においてどういうことが問題になっているのかという背景を理解することが主眼である。
(さらにまた、文章を読む経験をつむことで語彙量を蓄積する効用もある。)
 
. 語彙・漢字については、1と関連するが、文章に出てきた単語をその度ごとに辞書でチェックすることが大事である。
「漢字問題集を(ある程度早い時期に)1冊仕上げる」「現代文用語集で熟語を覚える」というのもそれはそれで大事なのだが、
「文章を読んでいる途中で出てきた語をその度に辞書or用語集でチェックする」というのが語彙定着の上では普通のあり方だろう。
 
.「基礎的な方法論の習得」についてはこのサイトでも方法論習得のための参考書がいろいろ挙げられている。
入試現代文がどのような教科か把握し、どのように問題文を読み設問を解いていけばいいのか
その基本的作法を身につけるためのものである。
 
.方法論習得系の参考書で基礎作法を身につけた後は、それを実際に過去問・問題集で演習をつまないと身につかない。
自動車の運転の仕方を本で読んでも、実際に車の運転をしなければ運転の仕方が身につかない。それと一緒である。
方法論習得系の参考書をやっただけで安心してしまう人が結構いるので、ここは注意してもらいたい。
 
これら4つのいずれが不足しても現代文の成績上昇にはつながりにくいだろう。
 
いくら参考書で設問を解くテクニックだけ身につけた「つもり」になっていても、
根本的な読書不足のせいで本文の内容を読んでも理解することができなかったら、さっぱり問題は解けない。
語彙や漢字が足りないのでは本文をまともに読めないし、記述解答もまともな内容のものを書けない。
どれだけ読書量をつんでいても、「現代文は個人の意見を述べる場なんだ」と
現代文という教科を勘違いしているようでは点が取れない。
基礎的な方法論を身につける参考書をやっていても、その後過去問で訓練を積んでいなければ
経験不足で実戦的得点力は身につかない。
 
この4本柱を密接に関連付け、本番入試まで絶えず倦まず繰り返すこと。
現代文の力をつけるためにはこれしかない。(6)
 
 
[(iv).入試現代文の勉強に特徴的な点―解説による自己検証]
この現代文という教科の勉強で重要なのは
「問題を実際に自分の頭でじっくり考えて解いてみて、その後解説を読んで自分の解答のプロセスを修正する」
という、この過程を繰り返すことである。
ここで入試現代文の勉強できわめて特徴的なのは「解説を読んで自分の解答のプロセスを修正する」という部分である。
現代文の勉強においてはある程度の問題演習で経験をつむことが最低限必要であるが、
普遍的な法則がない以上、その都度その都度自分の解答法をチェックし、修正を加えていくしかないのである。
この自己検証の経験を積んでいくことこそ、現代文の成績上昇のためには必須なのである。
極端な話、結果的に出てきた答えよりも、
解答するときにどれだけ自分の納得のいく解答のプロセスを積み上げたか、その方が重要ではないだろうか。
現代文では二度と同じ問題は出ないと言ってよい。
そうである以上、答えを覚えても意味はなく、次に生かせる「経験」をどれだけ積んだか
それが本番入試のためには重要だからである。
 
 
[(v).現代文が苦手な人の陥る悪循環]
ところが、現代文の勉強に慣れてない人や活字を読むことに慣れてない人は、
よくこの自己検証の過程の重要性を見落としてしまう。
「解説を読むのがつらい…」「解説を読んでも難しくてよく分からない…」と、解説をおざなりにしてしまいがちなのである。
ここが、現代文初学者のつまずきやすい点である。
 
 現代文が苦手な人が現代文の勉強をしようとする
 ↓
 だが、現代文の苦手な人は活字を読むこと自体が苦痛である
 ↓
 問題文が読めないだけでなく、解説を読むこと自体も苦痛である
 ↓
 解説をまともに読まない
 ↓
 現代文が苦手なまま
 
現代文が苦手な人は活字を読むこと自体が苦痛のため
現代文の勉強の過程において、この悪循環から抜け出しにくいのである。(7)
 
そして、現代文の苦手な受験生はこの悪循環から早く抜け出したいため
「私たちが普段使ってる日本語なんだから、今さら勉強しなくたっていいじゃん!」と勝手に思い込んだり
「現代文なんてやっても無理…」だと思い込んで現代文の勉強を諦めたり
「現代文は公式だ!」などと耳当たりがよい甘い言葉で人を釣る参考書に逃げたりしがちなのである。
 
[(vi).現実の直視]
はっきり言おう。「現代文は、ある意味つらい教科である」と。
 
これまであなたが「読めなかった」ものを、なんとかして「読める」ようにするのである。
「無」から「有」に変えるのであるから、
その変換に必要なエネルギーは皆さんが思っているよりずっと大きいと言わざるをえない。
だが、その現実から目をそらしていては何も変わらないのではないだろうか。
「現代文の勉強は大変だ」という現実から目をそらし甘い幻想を信じこみ続け、現実の本番入試で奈落に落ちるよりも、
この現実を直視し、それを克服しようと一歩一歩積み上げていく方がはるかに自分のためになるのではないだろうか。
現代文の成績は、勉強をしなければ決して上がらない。しかし、適切な方法で本番までコンスタントに積み上げていけば
着実に上がっていくのである。

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/2996/gendaibun/
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2009/04/25(Sat)12:49:26
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